新型コロナウイルス スイスで何が起こったか②初の死亡者

Swiss News

新型コロナウイルスの感染が初めて確認されてから1週間。スイス国内で、ついに1人目の死亡者が出ます。隣国イタリアでは外出制限が全土に広がり、ウイルスの脅威が欧州に吹き荒れようとしていました。2020年3月3日〜3月9日の動きです。

この記事でわかること
・スイス軍に初の感染者
・国内初の死者はスイス西部の女性
・越境労働者の通過はOK
・スイス株式市場が急落

スイス軍にも感染者

3月3日(火) 感染者46人

この日スイス軍で1人目の感染者が出ます。ベルン州の軍駐屯地の隊員でした。

スイスのクリプトバレー、ツーク州でも初の感染者が出ます。

保健庁はこの日、コロナウイルスの検査費用180フラン(約2万円)が4日以降は健康保険でカバーされると発表します。

スイスでは国民に健康保険加入が義務付けられています。民間保険会社の基礎医療保険に加入し、妊娠・出産も保険でカバーされます。歯医者は全額自己負担(泣)

ジュネーブ州では、州内初の患者が退院しました。患者は大学生で、ティチーノ州の男性に続く2人目の回復者となりました。

南部ヴァレー州にある化学大手ロンザ(写真)のオフィスは2日、イタリアからの越境労働者や短期労働者の体温チェックを始めたと、地元紙が報道しました。

©️Lonza.ltd

3月4日(水) 感染者63人

感染拡大が止まらないイタリアは5日から学校、大学を15日まで休校にすると発表します。

↑コンテ伊首相のビデオメッセージ

スイス公共放送(SRF)によるとイタリア国内の感染者は3089人、死亡者は107人。前日から感染者500人増、死者が30人と急増したため、このような措置に踏み切ったとみられます。

スイス連邦保健庁おなじみの予防対策ポスターに「ソーシャル・ディスタンシング(social distancing)が加わったのもこの日。国の保健行政を率いるアラン・ベルセ内相は握手はダメと言ってるポスターの前で、自ら隣の女性の手を握るという高木ブーさんもびっくりのボケをかまして去っていきます。

Coronavirus: Bundesrat Alain Berset informiert über Regeln für Veranstaltungen.

握手はダメと言ってるのに、会見の終わりについ握手してしまうベルセ内相
(55分22秒)

国内初の死者

3月5日(木) 感染者109人、死亡1人

国内初の死亡者が出たのは、1人目の感染者が出てから1週間後でした。

死亡したのはヴォー州の女性(74)。入院先のローザンヌ大学病院によると、3日から入院していて、この日午前に死亡したそうです。持病があり、イタリア滞在中に感染した可能性が高いということでした。

ギー・パルムラン経済相は州、関係団体、経済団体と会合し、経済への影響について協議しました。

この日の時点で検査を受け、陰性だったのは3000人超に上ります(スイス公共放送の報道より)。

3月6日(金) 感染者176人、死亡者1人

トゥールガウ州でも初の感染者が確認され、ウイルスの影響は26州のうち18州に広がります。

連邦内閣は閣議で検査体制を見直します。

感染者の早期発見を目指す従来の方針から、65歳以上の高齢者や基礎疾患(糖尿病、慢性呼吸器疾患、がんなど)を持つ重症化リスクの高い人たちを優先する方針に変更しました。感染者の急増を見越し、医療機関のパンクを防ぐための予防措置です。

06.03.2020 – BR Berset zu: Aktueller Stand & Empfehlungen an die Arbeitgeber und an die Bevölkerung

イタリアからの労働者はOK

3月8日(日)  感染者303人、死亡者2人

イタリアのコンテ首相が、感染が最も深刻な北部14県の封鎖を発表しました。同国では7日までに感染者5883人、死者233人に急増。そのほとんどが北部でした。

これを受けてスイス連邦内閣は、イグナツィオ・カシス外相とイタリアのディマイオ外相が電話会談。越境労働者の通過を認めることで合意したと発表。

スイスにとって、これはとても大切なことでした。スイスのティチーノ州には毎日7万人近くのイタリア人労働者が働きにきています。特に病院・介護施設では多くのイタリア人が働き、医療システムを維持するためには、感染のリスクを背負ってでも通過を認めることが不可欠だったのです。

↓ちなみにこの人がイグナツィオ・カシス外相。ティチーノ州出身で、イタリア語圏出身の閣僚は7人中、彼だけ。趣味はギター。

ベルセ内相もこの日、ティチーノ州のクリスティアン・ヴィッタ州参事と今後の対応を協議しました。

バーゼル・ラント準州で心臓病持ちの男性(76)が死亡し、国内の死亡者は2人に増えました。

スイス株式市場は大幅下落

3月9日(月) 感染者373人、死亡2人

スイス公共放送(SRF)によると、グーグルのチューリヒオフィスはこの日から、4千人がホームオフィスに切り替えました。

株式市場に影響がではじめます。世界同時株安の波はスイスにも波及し、スイス株式市場指数(SMI)は6.1%下落しました。

経済省経済管轄局(SECO)によると、短時間勤務補償への申請件数は3月中で急増。75事業所、2516人分がこれまでに受理されました。最も多いのがチューリヒ 州で、飲食サービス、研究職、フリーの技術職などが目立ちます。

医療機関のパンクを防ぐため、保健庁は14日間の隔離措置を10日間に短縮し、その後48時間症状が出なければ隔離を解く―という方針に変更しました。

検査対象も、病院での治療が必要と判断された場合か医療機関のスタッフに限り、濃厚接触者は5日の隔離に止めることを決めます。

イタリア政府はさらに踏み込んだ措置をとります。北部に出した外出制限を、全土に拡大したのです。同国での感染者は1万人、死亡者も460人を超えていました。コンテ首相は、全ての公共の場での集会を禁止し、国民は仕事や緊急の場合を覗き外出自粛休校は4月3日まで延長すると発表します。

隣国ドイツでは感染者が1000人を超えました。

>>③へ続く

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