新型コロナウイルス スイスで何が起こったか③ロックダウンへ

Swiss News

感染者が100人単位で増え始めたスイス。最も深刻な南部の州は国よりも先に休校などのロックダウンを進めます。連邦内閣はこの7日間で2回会見を開き州の動きに追随する形で休校や店舗の営業停止を発表しました。この記事では2020年3月10日〜16日の動きをまとめました。

この記事でわかること
・イタリアの国境は封鎖する?
・州が独自に「非常事態宣言」
・州が独自に休校を発表
・国が全国の学校を休校へ
・ティチーノ州が店舗の営業停止
・国も続いて店舗の休業を発表

イタリア国境を封鎖?

3月10日(火)感染者458人、死亡4人

感染拡大が止まらないスイス南部ティチーノ州は、高齢者施設や病院への訪問を禁止しました。

また同州でこの日、1人目の死亡者がでます。州の発表(同日午前)によると、死亡したのは伊メンドリージオ出身の80歳女性高齢者施設の入居者でした。

国内の公共交通機関は感染封じ込めのため様々な対策をとります。例えばバスでは運転手を感染から守るため、前方のドアを閉鎖し、運転手のそばの席にも座れないようにしました。トラム(路面電車)などでも、車両の消毒作業が行われるようになります。

スイスのバス、トラムは前、中央、後ろのドアどこからでも乗り降り可能。改札がないので、事前に切符を販売機で買って(田舎のバス停では運転手から直接買う)乗ります。たまに私服の検札員(必ず複数で挟み撃ちにしてくる)が回ってきて、キセルがバレると100フラン(約1万円)という法外(?)な罰金が科されます。観光客でも容赦なし。恐るべきスイス。

連邦外務省はイタリア滞在中のスイス人に帰国を自粛するよう呼びかけました。ウイルスをこれ以上国内に持ち込まないように、という苦肉の策です。

そんなイタリアの深刻な状況を目の当たりにし、国内ではイタリア国境を全面封鎖すべきだとの声があちこちで挙がり始めます。

商業紙ハンデルス・ツァイトゥングは、政府がイタリア国境の封鎖を検討している報じました。

でも、アンドレ・シモナッツィ内閣報道官は「誤報だ」ときっぱり否定します。

地元のティチーノ州政府は連邦内閣に対し「国境検査の締め付け強化を」と要請します。地元の国民党マルコ・チエサ議員ら一部の政治家は「今国境を閉鎖しないとひどいことになる」と訴えました。もはや労働者の確保、などと言っていられない状況に追い込まれていたのかもしれません。

 

州が連邦政府を先行

3月11日(水)感染者551人、死亡5人

スイス中央部のニトヴァルデン準州(人口4万人)でも初の感染を確認

多くの製薬企業が集まるバーゼル・シュタット準州政府はこの日午前、州としては全国初となる企業救済策を発表しました。

失業対策として設けられた危機資金(Krisenfonds、600万フラン)に500万フランを積み増し、コロナで損失が出た業界の給与支払いなどに当てる、というものです。

また中小企業に支払猶予を伸ばし、バーゼル州立銀行で州の保証付融資を受けられるようにする(最大5000万フラン)措置も設けました。

地元紙によると、州内で短時間勤務補償を申請した企業は68事業所あり、飲食、ホテルが大半です。

スイスの短時間勤務補償って何?という人はこちらの記事へ↓
https://www.swissinfo.ch/jpn/kurzarbeit/45677454

ジュネーブ州もこの日、企業救済の経済措置を発表しました。

連邦政府も企業救済に動き出します。経済省経済管轄局(SECO)のマリー・ガブリエル・イネイヒェン・フライシュ事務次官は短時間勤務補償制度の手続きにかかる日数を10日から3日に短縮すると発表しました。企業が1日でも早く救済を受けられるようにするためです。

一方、連邦税関事務局のクリスティアン・ボック局長は、イタリア国境検問所83カ所のうち、ティチーノ州にある9カ所を即時閉鎖すると発表しました。これは小さな検問所を閉めることで、業務の負担削減・効率化の目的があったようです。

Grenze zu Italien schliessen? Die Tessiner streiten mit dem Bundesrat | St.Galler Tagblatt
Anders als Österreich will die Schweiz die Landesgrenze zu Italien offen lassen. Doch der Druck wächst – gleich an mehreren Fronten.

スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)は4月始めまで、イタリア発着便を運休すると発表。スイス連邦鉄道(SBB)も10日からチューリヒ 、ジュネーブ発ベネト行きの直通便を運休していましたが、12日からはチューリヒ ーミラノの直通電車もスイス国境で折り返すと発表しました。

州が国より早く「非常事態」宣言

感染が国内で最も深刻なティチーノ州がこの日夕方、全国で初めて「非常事態」(正式にはstate of necessityで、state of emergencyではない)を宣言。

連邦政府より2日早く、私立校や義務教育以外の学校を休校にし、3月末まで映画館やスキー場、ナイトクラブの営業を認めない厳しい措置を出します。

なぜ義務教育を外したか。それは重症化リスクの高い祖父母が孫の世話に呼ばれるのを防ぐためでした。共働きで子供の面倒が見れない親が、祖父母にSOSを出すのを政府は最も懸念したのです。

世界保健機関(WHO)が事実上の「パンデミック(世界大流行)宣言」を出したのは偶然にも同じ日。

隣国イタリアもさらにロックダウンを進めます。コンテ首相はこの日、店舗、バー、レストランなど、スーパー・薬局を除く全ての店舗を3月25日まで営業停止にし、企業にも必需でない部署を閉めるよう命じました。

米国ではトランプ大統領が欧州からの入国者を30日間禁止すると発表しました。

Coronavirus: EU condemns Trump over US travel ban from 26 Schengen countries

コメント