新型コロナウイルス スイスで何が起こったか⑦ 農業も救済へ

Swiss News

4月に入り、ロックダウン緩和に向けた最大の関門、イースター休暇が近づいてきました。政府は国民が浮き足立たないようにと、会見で何度も「家にいてください」と呼びかけ始めます。新規感染者は変わらず1千人規模で増加。4月1日〜6日の動きです。

この記事でわかること
・肉に補償
・警察の取締りを強化
・フェンス越しの愛
・レシピサイトで一番人気は?

仔牛・子羊肉に補償

4月1日(火)1万8392人 死亡528人

ルツェルンの高級ファッションアトリエが、イブニングドレスの代わりにマスクを製造ー。その模様がスイス公共放送の番組で取り上げられました。アトリエはLUクチュールというところで、今もオンラインショップでマスクを売ってます。70度で洗えるコットンマスク、が売り文句。レースで作ったデザインアトリエならではのおしゃれマスクもあります。

隣国イタリアは、スーパーでマスク着用を義務付けます。スイスでもマスクをつけて外出する人が目立ち始めましたが、義務付けはされていません。私の家の近所では、マスクをしているのは若い人、外国人で、お年寄りはほぼ着けていないです。

この日、連邦政府が新たな措置・方針を発表します。

経済:財務省は中小企業向け緊急融資の増額を検討。現行の200億フランでは不足が生じる可能性が高いため。現在対象から外れているタクシー運転手などの個人事業主も経済補償の対象に盛り込む考え

農業:保管中の肉(仔牛、子羊のほか牛肉の希少部位)に関しては300万フラン超の補助金。これらの肉の卸先は大部分がレストランだが、現在休業中

小売店での需要増を受け、卵・バターの一部関税割当を引き上げる

輸入食品の規制規則を緩和

難民:難民申請の手続きは、代理人弁護士の立ち合いなし(コロナが理由の場合のみ)でも可能にする。一部屋の人数制限は行う。送還措置を受けた難民申請者の出国期限を7日から30日に延長する(入国制限を設けている国が多いため)

軍・民間施設を早期・簡潔に難民関連施設に活用できるようにする

パルムラン経済相はこの日の会見で、内閣がロックダウン緩和の検討を始めたことを明らかにしましたが、「完全な解除はまだ早すぎる」と強調しました。記者会見では4月に入ってから、ポツポツとロックダウン解除の質問が挙がるようになります。元々のロックダウンの終わりが4月19日なので、それに向けて緩和ムードがたかまっていきます。

01.04.2020 – BR Guy Parmelin, BR Karin Keller-Sutter zu: Coronavirus (COVID-19)

スイス公共放送(SRF)ではこの日、トゥールガウ州で行われている自宅訪問式コロナ検査の様子が紹介されました。感染疑いの人の自宅にスタッフが出向き、ドアの前に検体採取キットを置いて、患者自身に採取してもらい、検体をスタッフが持って帰ります(濃厚接触を避けるためこういうやり方だそう)。本人には電話で結果を知らせます。

「ロックダウン緩和は時期尚早」

4月2日(木)感染者1万9496人 死亡581人

4月に入ってから緩和の話題が目立ってきます。でも保健庁のダニエル・コッホ氏は会見で「国内の新規感染者は1日1000人前後をうろうろしている。感染のピークには達しておらず、ロックダウン緩和は時期尚早」。

ちなみにこの日のコッホ氏は珍しく黒シャツに黒いジャケット、赤いネクタイとどこかのマフィアみたいな格好で登場します。おでこにはドアでぶつけたという生々しい傷跡が。

4月に入ってからのもう一つの重要課題は、イースター休暇(キリストの復活祭)でした。日本のGWを思い浮かべてもらえればわかりやすいかもしれませんが、この休暇中は実家に帰省したり、ちょっとした旅行をしたりと、国内中が大移動します。特に気候の良い南部ティチーノ州に行楽にいく人は多く、途中のゴッタルド道路トンネルは例年大渋滞です(日本の東名大和トンネルを想像してください)。

チューリヒ州の2020年のイースター休暇は10日(金)〜13日(月)の4日間。プロテスタントが主流の州、カトリックが主流の州で期間は若干異なります。

コロナ危機の中、外出自粛をいかに守らせるか。政府はこのあたりから何度も何度も「自宅にいてください!」と会見で発言するようになります。

この日の会見で、州警察協議会のシュテファン・ブレッター会長は「イースター休暇に向け取締りの警察官を増員する」と述べ、不要な旅行は控えるよう呼び掛けます。キャンピングカーでティチーノ州にいく人は、検問で追い返されるとも話しました。理由は「キャンプ場が閉まっているから」。

また政府タスクフォースの責任者マティアス・エッガー氏が、スイスを含む欧州8カ国の研究者で開発している感染者追跡システム「PEPP-PT」について説明しました。

このシステムは、スマホのアプリが一定時間近くにいた他のユーザーの連絡先情報をBluetooth機能を使って交換し、後で本人に感染が判明した場合、過去に濃厚接触した人の端末に警告を送る、というもの。データ保護も万全だという触れ込みでした。

エッガー氏も「データ保護に関しては明らかにしなければならない点がある」と慎重でした(スイスはその後結局、このプロジェクトから撤退します)。

新たな新型コロナ対策 欧州8カ国が追跡アプリ開発
個人のデータプライバシーを侵害することなく、新型コロナウイルスの感染者を追跡できるデジタルプラットフォームを、スイスなどの欧州各国が開発した。

この日の会見では、人工呼吸器を装着されている人が国内に378人いることが判明。さらに抗体検査の計画があるのかについては、コッホ氏が「大規模な抗体検査の計画について話すのは時期尚早」とし、そのような計画を実施する考えはまだないと述べました。

ベルン州がドライブスルー検査センターをこの日開所しました。こちらのオンラインフォームに記入し、検査が必要だと判断されるとチケットがもらえる仕組みです。来所は車のみで、自転車やバイクは感染予防対策上、立ち入りができないそうです。

渡航制限により南米、アフリカ、アジアで足止めされていたスイス人について、外務省はこれまでに12のチャーター機で2000人が本国に帰還したと発表。週内に複数のチャーター機がチューリヒ空港に到着するといいます。

外務省のチャーター機による本国送還のリストはこちら↓(4月23日現在)

教育省は、休校中の学校について、学期は延長しないと発表しました。これで夏休みが授業で潰されることがなくなります。ちなみに全ての学年に「コロナパンデミック中は対面授業なし」と書かれた証明書が送られることになりました(記念になりそう)。

スイスの製薬大手ノバルティスは、新型コロナウイルス感染症患者の呼吸障害の原因となるサイトカインストーム(一種の免疫過剰反応)の治療に、同社の薬ジャカビが効果があるかを調べるため、米インサイト社と共同で第III相臨床試験の準備を進めている、と発表しました。

世界では死亡者が5万人を超えました(ジョンズ・ホプキンス大学の統計より)。

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