新型コロナウイルス スイスで何が起こったか⑩営業再開へ着々

Swiss News

スイスのロックダウンは開始から1カ月が過ぎました。新型コロナウイルスの新規感染者は減少を続け、国内もどことなく安心ムード。27日から始まるロックダウン緩和の第1弾に向け、着実に歩を進めていきます。4月20日〜26日の動きです。

この記事でわかること
・コロナ検査の対象者を拡大
・政府が毎日マスク100万枚を供給へ
・ジュネーブ州で抗体検査、人口の5.5%がコロナに感染?
・ティチーノ州、死亡者の半数が高齢者施設の入居者

州が抗体検査

4月20日(月)感染者2万7871人 死亡1487人

スイスの製薬大手ノバルティスがこの日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待される抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの臨床実験を行うことで、米食品医薬品局(FDA)と合意した、と発表します。

国内では、独自で抗体検査を始める州が出てきます。ザンクト・ガレン州はどれくらいの人が感染し無症状だったかを調べるため、すでに1000人の血清学的検査を実施したと、地元通信社に明かしました。2週間後に1000人ずつ血液サンプルを提供してもらい、感染の範囲を見極めるそうです。

政府はこの日会見し、新型コロナウイルスで大きな損失を被っている観光業について、経済管轄局(SECO)のエリック・ヤコブ氏が「産業自体は今年中、2021年始めには回復するだろうが、需要が元どおりになるのは2022年までかかるだろう」と不穏な予言をします。

保健庁のパトリック・マティス氏は「新規感染者はここ数日200〜400人で推移し、減少傾向にある」。ただ高齢者施設へのお見舞い・訪問はまだダメだ、と話しました。

休校の是非について記者に問われると「子供は新型コロナウイルスの媒介者ではない」と保健庁の見解を繰り返します。

20.04.2020 – Point de Presse Coronavirus

この日グラウビュンデン州を視察していたアラン・ベルセ内相は現地での会見で「すべての店・施設が8月末まで閉鎖、ということはないだろう」と少し明るい道筋を示します。

フランスではこの日から、高齢者介護施設への見舞い・訪問が再びできるようになりました。ドイツも800m2未満の店が再開しました。

「早期の休校解除は無責任」

4月21日(火)感染者2万8028人 死亡1523人

学校の休校解除は無責任だー。スイス西部の州が反対の声を挙げます。

今や南部ティチーノ州よりも感染者が多くなってしまったヴォー州の教職員連盟の会長は、スイス公共放送(SRF)の番組で「衛生対策のコンセプトが存在せず、子供たちがウイルスの媒介者にならないという保証もない」ため、学校は再開できない、と訴えます。ヴォー州はくしくもこの日、のべ死亡者数(310人)がティチーノ州(291人)を超えます。

ただ保健庁のパトリック・マティス氏は以前の会見で「(感染状況に)地域差があることは承知している。だが休校解除は全国一斉で行うべき」。政府は、教室で2mルールを守らなければいけないのか、全員マスク着用なのか、などといった一律の防護対策について、はっきりしたガイドラインを出していません。州が反対の声を挙げているのは、そうしたことが背景にあるようです。

ティチーノ州vs国のように、再び州と国のガチンコ対決が見られるのでしょうか。

Widerstand in der Westschweiz - «Die Schulen bereits zu öffnen, ist verantwortungslos»
Kritik an der Wiederaufnahme des Schulbetriebs am 11. Mai. Der Lehrerverband Waadt fordert gar eine Ausnahmeregelung.

スイス教員連盟も政府に対し、適切な防護対策を提示するよう求めました。

一方、アールガウ州も国の緩和方針にイチャモンをつけます。州は連邦内閣に書簡を出し、27日の第1段緩和で全ての店舗を再開させるよう要請しました。

ちなみに元祖突撃隊長のティチーノ州は、現行の産業一律停止命令をロックダウン緩和が始まった後の5月3日まで続行する方向で検討している、と地元メディアが報じました。

またスイスの時計輸出は新型コロナウイルスで大打撃を受けます。スイス税関事務局によると、3月の時計輸出額は21.9%減の13億6000万フランとさらに落ち込みました。スイス国内の時計産業連盟が出した腕時計の輸出本数(3月)はもっと如実で、43%減の90万本でした。

↓こちらブタがデザイン(絵を描いた)したSwatchのFLYING PIGモデル。スイスの時計企業は同国西部に多く集まっています。

公共交通機関も緩和に向けて動き出します。スイス連邦鉄道(SBB)などは、これまで運休していたダイヤを徐々に再開していくことを決めました。

ドイツではミュンヘンのオクトーバーフェストが中止に。世界最大のお祭りで、毎年600万人が来場するモンスターイベントです。デンマークでは500人超のイベントを9月まで禁止すると発表。

オーストリアは5月15日にレストランや食堂を再開すると、首相が発言しました(23時までの制限付き)。イタリアは5月4日にロックダウンの段階的緩和が始まります。

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