スイスでは新型コロナウイルスに伴うロックダウンの第2弾緩和に入りました。さらに週の後半にはドイツ・オーストリアの国境制限が緩和され、国境を隔てて住む非婚のカップル、家族との再会ができるようになりました。5月11日〜17日の動きです。
5月11日(月)感染者3万0298人 死亡1874人
新型コロナウイルスに伴う国内の経済損失は月110億~170億フラン(約1兆2100~1兆8700億円)で、回復には数年を要するー。スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)のトーマス・ジョルダン総裁が日曜紙に国内経済の見通しを語りました。1930年代以来最悪の不況になるとも発言しています。

小中学校・幼稚園が再開
スイスでは3月中旬から休校になっていた幼稚園・小中学校が再開。半クラスによる授業、当分はオンライン授業を継続ーなど各州で対応は異なりますが、多くの州で、子供たちが学校に戻りました。

連邦制のスイスは、教育は各州の管轄です。幼稚園の開始年齢、英語授業の開始学年などは、各州によって異なります。
スイス公共放送(SRF)によると、感染がいち早く広がったティチーノ州では、対面授業の再開は小学校のみ。中学校はオンライン学習を継続、幼稚園は希望者のみーとしました。同州ルガーノ(人口6万人)では、200人以上の子供が自宅待機だったそうです。
スポーツの練習も、5人までなら再開して良いことに。電車・バス・路面電車などの公共交通もほぼ通常ダイヤに戻りました。マスクの着用は「混雑時のみ強く推奨」で義務付けられてはいませんが、やはりつけている人は少ないです(下の記事に動画があります)
チューリヒ州では、運転免許の筆記・実地試験も解禁されました。ただ実地試験では、試験官と運転者の両方にマスクの着用が義務付けられます。フィットネスセンターも再開しました。
全ての小売店、レストランなどの飲食店も、この日から営業が解禁になりました。
【スイスのロックダウン緩和おさらい】
スイスは11日(月)からロックダウン緩和第2弾が始まります。
・小中学校の休校解除
・電車、バスが通常ダイヤに
・全商業店、博物館、図書館が再開
・レストラン・バーが再開(1卓4人まで)
・スポーツの練習が解禁(制限あり)
・マスク着用は義務付けない pic.twitter.com/ENCR8Sh0iM— Kaoru_UDA@スイス在住記者 (@SHINJO55) May 7, 2020
また自動販売機大手のSelectaは、手の消毒剤・マスクの専門自動販売機を今後増やしていくと発表します。国内3千台のうち半分をこの自販機にする計画で、うち650台は鉄道駅にあるものです。

©️selecta
国内で第1号の感染者が出た南部ティチーノ州では3月14日以降、初めて死亡者がゼロを記録しました。新規感染者の数も3人で、以前に比べ激減。同州はピーク時の3月31日時点では24時間中の死亡者が15人に達していました。
連邦政府はこの日会見し、保健庁のダニエル・コッホ氏は最近の感染状況は良好だとコメント。感染経路追跡のため、症状がある人は皆検査するようにと呼びかけました。
また高リスク患者の人たちにも「自衛措置をとり、混雑時に電車やバスにのらない」など注意は必要だが「移動の機会を増やしても良い」と事実上の外出制限を撤回。また高齢者施設への訪問禁止も解くと述べました。
国境検問所でも、チェックは通過者の一部だけに。この日からスイス・EU-EFTA国民の外国人家族の呼び寄せ(永住目的)ができるようになりました。
短期操業制度については、ロックダウン緩和後の申請も引き続きできるようになります。例えば営業を再開したレストランで、2メートルの制限措置によりテーブル数削減→従業員削減で稼働した場合は、短期操業制度の申請が可能です。
また物資調達に軍を投入している国防省は、国民向けのマスクの在庫が州と国で1億枚に上り、十分な数があると強調。現在1800万枚を小売大手に供給したと発表しました。
隣国フランスでは外出禁止令がとかれ、55日ぶりに自由に外出できるようになりました。スペインでも一部緩和されました。
各業界で義務ー推奨の間をウロウロしているマスクですが、バーゼルとフランスにまたがるユーロエアポート/バーゼル・ミュールーズ空港は、利用者のマスク着用を義務付けると発表しました。
EuroAirport prepares for the return of passengers – protective masks mandatory on airport premises => https://t.co/9So9Gn0Uw4 #euroairport pic.twitter.com/R65dPUtHTV
— EuroAirport (@euroairportcom) May 11, 2020
5月12日(火)感染者3万0347人 死亡1880人
ジュネーブの団体が実施した食料品無料配給に数千人が長蛇の列を作った問題で、地元自治体が対策に乗り出しました。配給に並んだ人たちの多くはサン・パピエと呼ばれる不法入国者で、強制の健康保険にも加入していませんでした。

また休業中の事業所家賃の取り扱いについて、先週の臨時議会で上下院両方の了承を得られなかった問題で、国民議会(下院)の経済委員会(WAK-N)は、借主の家賃負担は40%とする新たな提案を出しました。規則は月額の賃料が2万フランを超えないものに適用されます。
1万5千フラン〜2万フランの家賃を支払う人にはオプトアウト条項が設けられます。これえは6月の夏議会に上程されることになりました。
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